通信費の章の冒頭で、「多くの人にとって家計に占める割合が大きい」固定費として通信費を取り上げました。
ただ、20〜30代の読者の中には、通信費以上に家計を圧迫している支出として、奨学金の返済を抱えている方も少なくないはずです。
今回は、奨学金の返済と固定費見直しをどう両立していくか、その考え方を整理します。
1. 奨学金返済という「もう一つの固定的な支出」
奨学金の返済は、電気代や通信費のような「見直せば減らせる」固定費とは性質が異なります。
借りた金額と返済期間はすでに契約で決まっているため、基本的には毎月決まった金額を返済し続けることになります。

2. 繰上げ返済に回すべきか、固定費の見直しを優先すべきか
「固定費を見直して浮いたお金を、奨学金の繰上げ返済に回すべきか」という質問には、借りている奨学金が有利子か無利子かによって考え方が変わります。

有利子で借りている場合
利子が発生している場合、繰上げ返済をすることで将来支払うはずだった利息分を減らせるため、早めに返済を進めるメリットが比較的大きくなります。
特に金利が高めに設定されている場合は、他の資産形成より返済を優先したほうが、結果的に得になりやすいという考え方もあります。
無利子で借りている場合
無利子の場合、早く返済しても将来の負担が減るわけではないため、繰上げ返済を急ぐ必然性は低くなります。
その分、固定費の見直しで浮いたお金は、生活防衛資金(急な出費に備える貯蓄)や、日々の生活に無理のない範囲での支出に回すという考え方もできます。
どちらが「正解」というものではなく、自分が借りている奨学金の利子の有無・金利水準を確認したうえで、無理のない範囲で判断することが大切です。
借入内容が分からない場合は、日本学生支援機構等、貸与元の窓口やマイページで確認できます。
3. 固定費見直しで浮いたお金の使い道、優先順位の考え方
奨学金返済を抱えている場合、電気・ガスや通信費、サブスクの見直しで浮いたお金の使い道に迷うことがあります。
一般的には、次のような優先順位で考えられることが多いです。
- 1. 生活防衛資金(急な出費・収入減に備える最低限の貯蓄)
- 2. 金利の高い借入(奨学金以外にリボ払い等があれば優先)の返済
- 3. 有利子の奨学金の繰上げ返済
- 4. 無利子の奨学金は通常ペースのまま、その他の資産形成や生活の充実
固定費の見直しで浮いた金額は、月数百円〜数千円程度と大きくない場合もありますが、奨学金の返済期間は数年〜十数年に及ぶことも多く、小さな金額でも積み重なると返済期間の短縮につながります。
4. 返済が難しくなったときに使える公的な選択肢
転職・収入減など、生活状況の変化によって返済が難しくなることもあります。
そうした場合に備えて、返済期限の猶予や、月々の返済額を減額できる制度が用意されていることも知っておくとよいでしょう。
延滞してしまう前に、貸与元(日本学生支援機構等)の窓口へ早めに相談することが大切です。
延滞が続くと、延滞金が発生したり、信用情報に影響が及んだりする可能性もあるため、「返せなくなりそう」と感じた時点で早めに動くことをおすすめします。
5. 固定費を見直すこと自体が、返済の負担感を軽くする一歩になる
奨学金の返済額そのものを大きく変えることは簡単ではありませんが、電気・通信費・サブスクといった固定費を見直すことで、毎月の家計に少しずつ余裕を作ることはできます。
返済と見直しを対立するものと捉えず、「見直しで作った余裕を、返済の安心材料にする」くらいの気持ちで、両方に少しずつ取り組んでいくとよいでしょう。
奨学金返済と固定費見直しは、どちらか一方を選ぶものではなく、両立させていくものです。
まずは自分の奨学金が有利子か無利子かを確認し、そのうえで固定費の見直しから無理なく始めてみてください。


コメント